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●対談 和田アキラvs西條 2003.8.28
「ニュー和田アキラモデル/SAW-8について」
西條: PAW-7とニュー和田アキラモデル/SAW-8の違いについて話して下さい。
和田: 西條君さ、このギターは今までのより鳴りが良くなってる気がするんだけどね。
この辺の秘密はなんなの?
西條: あ、逆に聞いちゃうんだ。
和田: うん、まあこういうのもありでしょ。
西條: piano conceptまあいいけどね。
ボディにもブラスのロッドを入れていて、ネックのトラスロッドとそのボデのロッドがネック・ジョイントで連結されていて、それがブリッジ・スタッドのアンカーにも連結されてると...。
和田: うん、このブリッジの.....ここら辺?
西條: うん、ブリッジのスタッドのアンカーの下にもまたブラスのブロックがあって、それら金属のロッドが全部一体化した構造になってると.....
和田: じゃあ、わりとこういう感じがするのはそのせいだね?(アキラ氏SAW-8の生鳴りを確かめる)
や、確かに......ほら、綺麗に鳴ってるよね。
じゃあ、ロッドの金属でも音を伝えてるってことなの?
西條: そうそう、トラスロッドがネックの強度を作る以外に、低域とかのレンジを伝えるものとして考えているから......
和田: 木だけじゃなくってことね?
西條: そうそう。
和田: やっぱ木だけだと途中で伝達が伝わらないの?
西條: というか、これまでのボディにロッドを入れてない普通のギターだと、木の都合で鳴りの特性が決まっちゃう。そうすると、ポジション毎に鳴りやすい所と鳴りにくい所が出てきたりして....。中にブラス材を通す事によって高域から低域までフルにレンジを確保.....
和田: が、より約束されてると? その通り道がって言うか......
西條: うん、されるんじゃないか? って思ってやってみてる。
和田: ブラスっていうのはやっぱりあるよね。金属的な響きもあるしさ。
あとね、それはこの構造だけの問題じゃないと思うけど、凄くLowも出てるよね? 前のPAW-7とかに比べてね。
西條: そう言ってもらえれば大成功なんだよね。
和田: それは金属伝達とかボディのデタッチャブルにしてるのもあるじゃん? そのデタッチャブルにしたことによって、金属の伝える物をカバーしてるわけじゃん?
西條: そうそう……まあ、デタッチャブルと言っても接着も併用したセミデタッチャブル。裏のボルト2本と本当はもう1本隠しボルトが入ってて、そのボルトでネックの中のロッドとボディの中のロッドがジョイントされてるんだけどね。
和田: なるほどね。
で、今俺が言った低音が出てるっていうか太いって言うか......。それは新しいロッドの構造のだけのでもないんだよね? きっとピックアップ的なこともあるんでしょ?
西條: うん、アルニコとセラミックの磁石をラミネートしたピックアップにもあるけど......。
そのスルー・ロッドー自称ピアノ・コンセプトって言ってる奴についてもう少し説明すると、ホンキートンク・ピアノと言われた頃の古いピアノは木の枠でできてて、鉄のフレームが入ってなかった、それだと中域は生ギターみたいにやたら鳴っちゃうんだけど、上下のレンジが凄く少ないと。
オーケストラの中で弾いたらかき消されるしかない.....そういう弱々しいしい音が出てしまう。
今のピアノの音ってのは高域のキーを押さえても、小さくても抜ける音が出てて、オーケストラのアンサンブルの中でも消えないと....。
でも、古いアンティークのピアノの高域は本当に弱い音でしかないんだよね。低域もないし....
和田: ピアノとかあれだね......チェンバロに近いみたいな感じの奴なんだろうね。きっとねその頃はね。
西條: だから凄い鳴りムラもあるし.....とりあえず抜ける音じゃないと。で、たぶん鉄のフレーム入れることによって、高い音でも低域をそなえた上での高音となり、だから小さくても抜ける音が出来た。
和田: 俺等なんかが知ってるっていうか.....ドラムセットにしてもそうだし、ギターもエレキギターになってからさ、木と金属が凄くポイントだったりするよね? 必ずドラムでも木があってさ....木だけの鳴りじゃない金属のパーツの音も一緒にするじゃない? それが結構、抜けとか鳴りの問題になるのかもね。
西條: 低音を伴なってない高音。低域をもってない高い音っていうのは弱い音でしかなくって......。やっぱり、他の音に負けてしまう。その辺をエレキギターに関して改善できるかなってやってみたのが自称ピアノコンセプトなんだけど。
和田: なるほどね。よくわかる。生ギター的な木だけの物で弦を支えてても、あんまり澄んだ高音というか....。金属的な所がいないような気がしちゃうよね。やっぱ金属と木が合わさると、ちょうどいいバランスになる事ってあるよね。
西條: 金属抜きの木の要素だけだと、鳴るだけじゃなくて吸ってしまってる部分もあると思うんだよね。
和田: ああ、吸ってしまってるね......吸い込んじゃうってことね。
西條: そう、エネルギーをね。
和田: そうするとポンポンいうよね.....まあ、ポンポンというか。
西條: うん、ポンポンというか......ロスがあるというか。逆にボディにあった鳴りやすいポジションだと凄く鳴るだろうけど、それ以外のところは弱くなってしまう。
和田: そうじゃない方が鳴りが素直だよね。でも、金属が通してあるじゃない? 金属が通してある所に最後にブリッジにきてるアームのアクションが今までのと違うよね。
西條: それは一つはプッシュタイプのスプリング。弦のテンションがかかると、普通の引きバネっていうのは伸びるから伝達が弱くなる。その点プッシュタイプのスプリングだと、弦やアームのテンションがかかるとそれだけスプリングが密になって、振動が伝わりやすくなる。
和田: なるほどね。
西條: あと、チューニングのバランス精度もプッシュタイプの方がよくなるみたい。
和田: 今度新しいアルバム(9月24日発売)を作ったんだけど、そのインタビューが始まってるのね。取材に来る人もちゃんと音聞いてから来てくれてて、適確なことを言ってくれるんだけど、その中でもギターの音がいいっていうコメントが多いね。
西條: このギターって結構使ったの?
和田: うん、結構使ったよ。一番使ったかもしれない。アンプも変わったしね。で、まあ色々な相乗効果で.....。本人的には「もうちょっとこうなったらいいのに」っていうのがあったりするんだけど、人に言わすと凄くいいらしいよ。ハハハハ....。
Fin



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