あれはちょうど西條氏が自宅の一部を工房に改造してまもない頃、saijoブランドの1号機もまだ彼のアタマの中の隅っこにあったかなかったかという6年前、フェル時代の彼に言った、「サスティナーをエレアコで使ってみてぇなぁ」というボクの変なオーダーを覚えていてくれて、「駅までは迎えにいくから、うちにきて」という突然のよびだしで訪れたのが最初のこと。「プレーヤーひとりひとりの個性にあわせて細かい仕上げチューンをするのが理想じゃない?数はかせげないかもしれないけど、こうしてきてもらったり、僕が出向いていったりして作っていけたら最高だよね」とギターパーツやボディ材ネック材はあたりまえ、つくりかけのピックアップやらコイルやらテスターだ、研磨機だ、塗装用塗料だぁ、図面だわ、回路図だわ、なんだかんだをゴッチャゴチャ詰め込んだ狭いスペースの中央で防塵マスクにゴーグル姿で語られた日にゃ少年心を思いっきりくすぐられて、「こいつ絶対スンゲェぞ、なにはじめる気だぁ?」と早速重要マーク人物リストの上位にランクしたわけで、むろんサスティナー付きエレアコはとてもいい感じになってたのだけど、ピッチやレベルやはては電源の安定化にいたるまで、ときとしてこっちの思惑以上に細かいこだわりをみせる彼につられて、その後もたまぁにギターもって自宅工房にかよう日々がゆるーくつづいてたある日、あるプロジェクトをきっかけに、どうも愛用のストラトがオーソドックスすぎてものたりなく感じてたボクに、「最近人に頼まれてオリジナルギターをつくってんだけど、みる?」と渡してきたのが、現在my No.1のsaijoギターのプロトタイプだったりする。
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